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2005年11月29日

わが経営と人生


樋口廣太郎 わが経営と人生―私の履歴書

樋口 廣太郎

ジリ貧状態からスーパードライを核に一躍ビール業界のトップに立ったアサヒビールは、ビジネススクールのケーススタディとしても取り上げられます。
明確な商品戦略とドラマティックな展開が受ける所以でしょう。
これを成し遂げたのが、ビール屋としては素人の元銀行マンというのが驚きです。
この事実は、業界の知識よりも経営者の信念と熱意が重要であることを示しています。
IBMを立て直したルイス・ガースナーと通じるものがあります。

まず、チャレンジ精神がすばらしい。
倒産寸前とまで言われたアサヒビールに、銀行の副頭取まで昇り詰めた人が、志願して乗り込むことはなかなかできることができません。
「コク・キレ」ビールで一息ついたときも、それに甘んじることなく「スーパードライ」を開発する積極さも見習うところがあります。
前例がない、だからやる」、樋口氏のモットーですが、すべてのリーダーにこの心意気が必要です。

非常に困難な状況だったわけですが、常に物事に前向きなのは読んでいて気持ちのいいものです。
社員のやる気を引き出し、「スーパードライ」を生み出したのも、この前向きさのおかげだと思います。
「厳しい」とネガティブな言葉は使わない、借金を返すより投資に力を入れる、すぐにやる、といった樋口氏の信念から来る行動が、社員と会社に勢いをつけたのでしょう。
チャンスは預金できない」という言葉が特に印象に残っています。
今後、壁にぶつかったときの指針になりました。

本書で紹介している「仕事十則」と「管理職十則」からは著者の思想が見えてきます。
どれも重みのある言葉で経験を感じます。
<仕事十則>
1.基本に忠実であれ。基本とは、困難に直面した時、志を高く持ち初心を貫くことであり、常に他人に対する思いやりの心を忘れないことである。
2.口先や頭の中で商売をするな。心で商売をせよ。
3.生きた金を使え。死に金を使うな。
4.約束は守れ。守れないことは約束するな。
5.出来ることと出来ないことをはっきりさせ、YES、NOを明確にせよ。
6.期限のつかない仕事は「仕事」ではない。
7.他人の悪口は言うな。他人の悪口が始まったら耳休めせよ。
8.毎日の仕事をこなしていく時、「いま何をすることが一番大事か」ということを常に考えよ。
9.最後までやり抜けるか否かは、最後の一歩をどう克服するかにかかっている。これは集中力をどれだけ発揮できるかによって決まる。
10.二人で同じ仕事をするな。お互いに相手がやってくれると思うから「抜け」が出来る。一人であれば、緊張感が高まり、集中力が生まれて良い仕事が出来る。

<管理職十則>
1.組織を活性化しようと思ったら、その職場で困っていることを一つずつづぶしていけばよい。人間は、本来努力して浮かび上がろうとしているのだから、頭の上でつかえているものを取り除いてやれば自ずと浮上するものだ。
2.職位とは、仕事のための呼称であり、役割分担を明確にするためにあるのだと考えれば、管理とは何かがきちんと出てくる。
3.「先例がない」、「だからやる」のが管理職ではないか。
4.部下の管理はやさしい。むしろ上級者を管理することに意を用いるべきである。
5.リーダーシップとは、部下を管理することではない。発想を豊かに持ち、部下の能力を存分に引き出すことである。
6.「YES」は部下だけで返事してもよいが、「NO」の返事を顧客に出す時は上司として知っていなければならない。
7.人間を個人として認めれば、若い社員が喜んで働ける環境が自ら出来る。
8.若い人は、われわれ自身の鏡であり、若い人がもし動かないならば、それは、われわれが悪いからだと思わなければならない。
9.若い人の話を聞くには、喜んで批判を受ける雅量が必要である。
10.結局職場とは、人間として切磋琢磨の場であり、練成のための道場である。
posted by ミズモト at 23:45| Comment(0) | TrackBack(1) | 自伝 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月19日

ブルー・オーシャン戦略


ブルー・オーシャン戦略 競争のない世界を創造する

W・チャン・キム, レネ・モボルニュ

血みどろの戦いが繰り広げられる既存市場を「レッド・オーシャン」、競争のない未開拓の市場を「ブルー・オーシャン」と名づけています。
この名称が絶妙です。
「ブルー・オーシャン」というワードに果てしなく広がる海をイメージし、大航海時代のスピリッツさえ感じます。
言葉だけでわくわくする戦略です。

本書は、単なる新理論であるだけではありません。
未開拓の市場の創造については、これまで多くの論文が発表されています。

その実践的な方法について、新しい視点を提供してくれたことが有効です。
事例を研究し、斬新な切り口から新しい戦略論を示してくれることは、我々が多様な考え方をするのに大いに役立ちます。
読者や経営者にとっては、幅広い考え方を吸収し視野を広くすることが大切です。
その上で、自身の立場にあった考えをすればよいのです。

例えば、本書に出てくる事例は、クレステンセン教授が『イノベーションのジレンマ』の中で提唱した「破壊的イノベーション」の切り口で分析することができます。
「ブルー・オーシャン戦略」や「破壊的イノベーション」、またはその他の戦略をとるかは、その人の思想と立場に依存します。
両方を選択してもいいのでしょうが、中途半端な戦略や絵に描いた餅になることだけには留意したいです。

ブルー・オーシャン戦略の土台を「バリュー・イノベーション」と呼んでいます。
簡単にいえば、イノベーションを伴った、バリューの向上のことです。
こう言い換えてしまうと、ありきたりの言葉ですね。
バリュー・イノベーションを成し遂げれば、「価値とコストはトレードオフの関係にある」という、競争を前提とした戦略論の常識から解き放たれる。これまでは、価値を高めるためにはコスト増を覚悟しなくてはならず、コストを低く保とうとすれば価値の面で妥協をせざるをえない、との考え方が一般的だった。このような考え方のもとでは、差別化と低コストのどちらをとるかを決めるのが戦略だと受け止められる。これとは対照的に、ブルー・オーシャンの創造をめざす企業は、差別化と低コストを同時に実現しようとする。
著者の言葉を引用してもやっぱりありきたりの言葉が並んでいます(笑)
わかりやすい言葉で定義し実現可能な戦略が、優れた戦略です。
そういう意味では、直感的にわかりやすい「ブルー・オーシャン」という言葉を使用し、戦略策定の具体的ステップを示している本書は、非常に大きな価値を持ちます。

「レッド・オーシャン」で行き詰っている経営者や、まさに「ブルー・オーシャン」を創造しようとしていた人にとっては、必読の一冊です。

ところで、事例にはドコモやQBハウス、シルク・ドゥ・ソレイユといった日本でもおなじみの企業が取り上げられています。
その中に私が現在注目している、女性専用のフィットネスクラブのカーブスがありました。
日本では今夏に数店が立ち上がったばかりですが、来年から急成長するようです。
今後の日本での新市場開拓に期待しています。
posted by ミズモト at 16:01| Comment(0) | TrackBack(2) | 経営 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月09日

デイトレード連勝法セミナー



ネット投資3年で成功している デイトレード連勝法セミナー


高田 智也

久々に投資についてです。
最近、NZドルや英ポンドが好調でしたが、スワップ金利があるからと売り時を遅らせたり、勢いに任せて買ったりと負けもいくつか発生しました。
これではまずいと、投資の勉強のネタを探してみました。

ネット投資3年で成功している私の連勝法』の著者によるセミナーDVDです。
やはりセミナーは勉強になります。
本より具体的で、耳と目から体全体に情報が入ってきます。

特に、検証の具体的なやり方と投資に対する心構えが強く印象に残りました。
心構え、心理状態についてはセミナーの中で繰り返し強調していました。
この点については、最近の私の投資スタイルからも反省させられることが大いにあります。
やはり、その場の思いつきで行動してはいけません。

自分で決めた確固とした自信のあるルールに基づいて行動するべきです。

これは投資に限ったことではありません。仕事でも同じです。
言語化されているかどうかは別にして、自分の中でもっているルール・理論に基づいて意思決定を行うのが大切です。
そのときにはじめて、行動に再現性・反省が生まれ、改善が可能となるのです。

一つの分野を極めた人の言葉は、汎用性を持ってすべてのことに通じる気がします。
このDVDから、今後の投資だけでなく、仕事上の意思決定について多くの気付きを得ることができました。
posted by ミズモト at 01:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 投資 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月08日

明日は誰のものか


明日は誰のものか イノベーションの最終解

クレイトン・M・クリステンセン

クリステンセン教授の破壊的イノベーションの応用編とも言うべき内容です。
イノベーション理論を使って、将来を予測しようという大胆な試みです。
「明日は誰のものか」 "Seeing What's Next"

ポーター教授の「競争優位の戦略」を初め、学会では多くの理論が生まれ、経営戦略に生かされてきています。
将来を考える上で、理論は非常に重要です。
勘で勝負し成功している人も、言語化されていないだけで、その人なりの理論を持っているのです。

一方、googleを初めとする新興企業は既存のフレームワーク(理論)を破壊しています。
しかし、理論が役に立たないのではなく、これまでの理論は時代に合わなくなり、彼ら独自の理論(仮説)の元に動いているのです。
理論が言語化されているか、仮説が経営者の頭の中にあるのかだけの違いに過ぎないように思えます。

さて、未来を予測することは、過去を振り返って理論をつくりよりもチャレンジグなことです。
イノベーション理論で偉大な名声を得た著者にとってはなおさらでしょう。
それでも試みることは必須です。
実践に生かしてこそ、学問です。
難しい問題を解決するからこそ、企業は価値を生み出せる。明日を見据えている企業は、明日生まれる難問の解決に積極的に乗り出す。というのも、明日の難問の解決こそが、明日の利益の源泉だからだ。これらの企業の姿勢は偶然にも、アイスホッケーの伝説プレーヤー、ウェイン・グレッキーのアドバイスそのままだ。グレッキーは、なぜ偉大なプレーヤーになれたのかという質問に対して、こう答えていた。「私はいつも、パックがあるところでにではなく、パックが飛んでいく先のポイントを目指してスケートをするように心がけている」
優良企業が苦しむ破壊的イノベーションの発見。
破壊者として破壊的イノベーションの活用。
そして、イノベーション理論を駆使した各業界の未来予測。

ポーター教授以来のイノベーティブな研究といっても過言ではないでしょう。

"Seeing What's Next" 意識しておきたい言葉です。
posted by ミズモト at 14:09| Comment(1) | TrackBack(1) | 経営 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月01日

イノベーションへの解


イノベーションへの解―利益ある成長に向けて

クレイトン・クリステンセン

名著『イノベーションのジレンマ』の続編です。
前作があまりにもすばらしかったのですが、本書も負けてはいません。
前作ほどの衝撃はありませんでしたが、「イノベーションのジレンマ」に対応する枠組みを示してくれています。
研究をここまで続けた著者を大いに尊敬しています。

優良企業は顧客の声に真摯に耳を傾けて、持続的イノベーションを起こします。
破壊的イノベーションは顧客のいない新しい市場を創出する。

では、破壊的イノベーションはどうやって引き起こすのか?
鍵を握るのはやはり顧客です。
ドラッカーの「事業の目的は顧客の創出である」は真理です。
マーケティングで狙い通りの成果をあげるためには、顧客がものを購入したり利用したりする状況を理解することが欠かせない。具体的に言えば、顧客(個人や企業)の生活にはさまざまな「用事」がしょっちゅう発生し、彼らはとにかくそれらを片づけなくてはならない。顧客は用事を片づけなければならないことに気付くと、その用事を片づけるために、「雇える」製品やサービスがないものかと探して回る。顧客は実際、こんな風に暮らしているのだ。彼らの思考プロセスには、まず何かを片づけなくてはという認識が生じ、次に彼らはその用事をできるだけ効果的に、手軽に、そして安くこなせる物または人を雇おうとする。顧客が製品を購入する状況を構成するのは、顧客が片づけなくてはならない用事の機能的、感情的、社会的な側面である。わかりやすく言えば、顧客が片づけようとする製品のターゲットを顧客そのものではなく、顧客が置かれている状況に絞る企業が、狙い通り成功する製品を導入できる企業である。別の言い方をすれば、かぎとなる分析単位は、顧客ではなく状況なのだ。
「顧客の用事を片づける」製品やサービスを提供すること。
非常にユニークだが、鋭い考察です。
コモディティ化したサービスよりは機能が劣っても、顧客が本当に片づけたい用事を片づけるためだけの機能に絞った製品が、破壊的イノベーションにつながると言っています。

機能を絞るということは、勇気がいることです。
もともと市場がないのだからいくら分析しても出てきません。

顧客を徹底的に観察し、想像力を働かせ、勇気をもつことが、「イノベーションのジレンマ」に対する一つの解になりえるということでしょうか。

前作からは、イノベーションに対する新しいパラダイムを得ました。
本書は、非常に考えさせられるものでした。

こういう本を読んでいると何故かわくわくしてきます。
posted by ミズモト at 14:33| Comment(0) | TrackBack(2) | 経営 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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