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2006年06月01日

iモード事件


iモード事件

松永 真理

iモードが発表された当時は一大ブームでしたね。
携帯電話でインターネットにつながるモバイル時代の到来でした。
NTT Docomoの加入者も急増し、就職の人気も急騰しました。
皆が、PHSからIDO(現au)からDocomoに乗り換えました。

人と同じことをするのが嫌だった私は、CMをDocomoからIDOに乗り換えた織田裕二に何故か共感を覚えて、cdmaOneを買ってNTT Docomoの就職試験を受けました(笑)

当然ですが、iモード誕生の裏にはさまざまなドラマがありました。
本書はこの舞台裏を事細かに見せてくれます。
他の分野でも応用可能なノウハウがたくさんでてきます。

例えば、もっとも難しい値付けについて。
「それは違うと思うわ。500円という金額は、雑誌で言えば月刊誌の値段でしょ。読みたい特集があってはじめて、読者は購入しようかという気持ちになるものなのよ。300円という値段は週刊誌の値段よね。習慣性もあるし、特集で特に読みたい記事がなくても、連載記事でも読もうかと気軽に買える値段よ」
情報誌時代、雑誌の値段を100円上げるだけで売り上げ部数がガクッと落ちたことがある。ユーザーにとっては、100円の差は大きい。
「300円くらいなら、2、3ヶ月使わないことがあっても、千円に満たないでしょ。これなら我慢できる。より多くの人をターゲットにするのなら、300円より高くしてはいけないと思うんだけど」このとき、私が根拠とする論に「四捨五入理論」というのがあった。4だったら、切り捨てられるが、5だったら10にしてしまう感覚だ。

情報ビジネスに必要不可欠なコンテンツについても明確な主張をしています。
「コンテンツがたくさんあればいいというんだったら、いまのインターネットと変わりはないじゃないですか。ネットサーフィンのできる人が、自分の必要な情報を探していくというのと同じで、一部のパソコンを使いこなせる人たちが使うものと変わらないものができてしまいます。私自身がパソコンを使いこなせないこともあるけど、これから作る携帯には普通の人が日常的に必要とする情報をコンパクトに載せたほうがいいんじゃないでしょうか」
「その必要な情報というのは誰が決めるんですか。真理さんですか」
「いや、だから、それはみんなこれから考えて・・・」
「真理さんがこれまで情報関係の仕事をしていたからといって、一人の人間が情報内容を決定していくのはリスクが大きすぎます」
「私一人が決めるというのではなく、ユーザーの立場に立ってみんなが話し合って、適切だと思ったものを載せるんですよ」

そして、欠かせないのが顧客です。
ここでも独自のノウハウを披露してくれています。
新しい雑誌を創刊するときに、必ず私がやることがあった。これから作るものは、どんな人を対象に、どんな場面で使ってもらいたいかを明確にしていくのだ。
「ターゲット」つまり誰に買ってもらうかの照準を定めるわけだが、普通はたとえば「女子高生」「三十代の、年収いくらの男性」というある固まった層をイメージするのに対し、私は一人の明確な「人物像」を描いていく。どんなファッションを好み、どんな場所に遊びにいくのかという一人の人間を思い描き、その周りに20万人、30万人がいると設定するのだ。そんな人物が実際にどんなものをほしがっているのか。それを明確にしていく。そのため最初に私がやる方法がブレーン・ストーミング(ブレスト)だ。

ウーマン・オブ・ザ・イヤー2000に選ばれただけあって、ビジネスの才覚があちこちで見られます。
リクルートで培ったものでしょうが、一貫しているのがユーザーの立場に立って考えるということです。
この姿勢を貫いているからこそ、百戦錬磨のマッキンゼーの人たちとも議論し合えるのでしょう。

お客様の立場に立って考えるということと一貫性、この2点が松永真理という女性の最大の強みだと感じました。
posted by ミズモト at 19:40| Comment(4) | TrackBack(1) | 経営 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月16日

知恵は金なり


知恵は金なり―これから5年を勝ち抜くための経営学教科書

堀 紘一, ドリームインキュベータ

元ボストンコンサルティンググループ社長の堀紘一氏がベンチャー育成のために立ち上げたのがドリームインキュベータ。
他のベンチャーキャピタルとは違い、戦略コンサルタントのノウハウをベンチャーに応用するというビジネスモデルのようです。
「ソニーやホンダを100社育てる」という構想は、今の日本に必要なものです。
ドリームインキュベータ自身もベンチャーであり、エクセレントカンパニーともいえます。
私のあこがれの会社です。

本書は曖昧に定義されがちな「コンサルティング」に焦点をあてて、複数のコンサルタントがさまざまな角度から論じています。
ベンチャーは社長のリーダーシップや事業のコンセプトばかりが注目されがちですが、ベンチャーにも戦略は必要です。

明日を見据えたマネージメントや新規事業の差別化と回収エンジンは参考になりました。
数ヵ月後の存在も危ういベンチャーにはもちろん重要ですが、大企業にも役に立ちます。
ベンチャーと大企業にとって、戦略の中身は違いますが、戦略立案へのアプローチは共通するものがありそうです。
ビジネスモデル=差別化×回収エンジン(”儲け”の源泉)

【差別化】
差別化 = コア技術 + 周辺技術
開発コスト = 開発リソース × 開発期間

【回収エンジン】
先進ユーザー:開発段階からコミットしてくれるユーザーはいるか?
Cash Cow:既存技術の置き換えは容易には進まない

開発初期の段階からコミットしてくれる先進ユーザーの獲得が鍵

ビジネスにとって重要なのは「知恵」なのは間違いありません。
「知恵」を使う人ほど、仕事に付加価値が出てきています。
「知恵」をつけること、使うこと、学習し続けることの大切さを再認識しました。
その意味では、私は学歴というのは二十世紀的な言葉であり、二十一世紀には学と歴のあいだに習うを入れて「学習歴」が大切であると考えている。

「ソニーやホンダを100社育てる」という崇高な理念を持ち、「知恵」を武器にするドリームインキュベータのような会社は私の理想です。
posted by ミズモト at 01:16| Comment(0) | TrackBack(1) | 経営 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月08日

ネクスト・マーケット


ネクスト・マーケット 「貧困層」を「顧客」に変える次世代ビジネス戦略

C.K.プラハラード

一日2ドル未満で生活する人々を「BOP (Bottom Of the Pyramid、経済ピラミッドの底辺)」と定義しています。
富裕層に対するビジネスがますます注目されている一方、BOPは軽視されてきました。
それもそのはず、BOPには購買力がないためビジネスとして成り立たないという先入観があります。

しかし、BOPは元々「貧しいがゆえの不利益」を被っており、そこにビジネスチャンスがあったのです。
BOPは世界に50億人いると言われ、潜在的購買力は高いと言えます。
だが、大企業のビジネスなら、「貧しいがゆえの不利益」を打破することができる。たとえば、ダラビの貧困者は、地元の貸金業者からお金を借りるために600〜1000%の利子を支払っている。であれば、この市場に参入する銀行は、25%の利子で貸し付けることでビジネスとして成功できる。この25%という利子は一見法外に思えるかもしれないが、BOPの消費者にしてみれば、銀行が参入することで利子が24分の1に激減することになる。したがって、彼らは地元の貸金業者との利子の違いに目を奪われる。そして銀行は、リスクを従来の経済ピラミッドの上層にいる顧客より10%高く調整するだけで、十分妥当な利益をあげることができる。なお、彼らのリスクは富裕層とあまり変わらないということをあとで述べる。
同じ経済状態でのなかで、BOPの消費者と裕福な人々で生活コストに格差ができる理由は、「非効率的な販売網と地元の中間搾取業者により、貧しいがゆえの不利益を強いられている」という事実だけで十分である。こうした問題は、組織化された民間企業がBOPの人々を「顧客」に変える決断をすることで、簡単に解消される。規模、オペレーションの幅や経営管理のノウハウを投入すれば、企業自身も、潜在的消費者も、効率よく動けるようになる。

もちろん単純にはうまくいきません。
「貧しいがゆえの不利益」が生じる原因の一つに情報の格差があります。
情報が少なく教育水準も低いために、「貧しいがゆえの不利益」にも気付かないか、何もできないでいるのです。
インドの40%以上の地域は「メディア・ダーク」である。つまり、この地域の消費者には、商品やサービスのメリットをテレビやラジオを使って教育することはできない。BOP市場を開拓するうえで、教育が必須であることは言うまでもない。

BOPには大きなビジネスチャンスがあります。
さまざまな障害を乗り越えた先に、大きなマーケットができあがります。

BOP市場における可能性とイノベーションを事実と事例をもとにまとめたのが、本書です。
市場が成熟しきっていて大きな伸びが期待できないと感じている大企業にとっては、特に役に立つアイデアではないでしょうか。

BOP市場におけるイノベーション12の原則
1 コストパフォーマンスを劇的に向上させる
2 最新の技術を活用して複合型で解決する
3 規模の拡大を前提にする
4 環境資源を浪費する
5 求められる機能を一から考える
6 提供するプロセスを革新する
7 現地での作業を単純化する
8 顧客の教育を工夫する
9 劣悪な環境にも適応させる
10 消費者特性に合うユーザー・インターフェースを設計する
11 貧困層にアプローチする手段を構築する
12 これまでの常識を捨てる
posted by ミズモト at 14:05| Comment(2) | TrackBack(7) | 経営 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月16日

ウィニング 勝利の経営


ウィニング 勝利の経営

ジャック・ウェルチ

ウェルチ氏はどこでも「率直さ」の重要性を訴えていますが、本書は氏の率直さがそのまま表れています。
良いことも悪いこともずばり言ってくれますので、読んでいて気持ちのいいものです。

20世紀最高の経営者の経営者が、ここまで本音で語ってくれるのは貴重です。

個人的に参考になったのは「天職」についてです。
何を言いたいかといえば、ある職がその後のあなたのキャリアをどう変えるかを知るのは不可能だということだ。もしも自分が立てたキャリア計画に忠実に従っている人がいたとしたら、食事の席ではその人の隣に座らないようにしよう。とんでもなく退屈なヤツに決まっているから!

働く人の誰もが通り抜ける、不快で時間ばかりがかかる、山あり谷ありの繰り返しのプロセスに耐えることだ。一つの職について、その仕事の何が好きで何が嫌いか、自分にはどんな能力があり、何ができないかを知る。そして仕事を変えながら、自分に合った仕事に近づいていく。それをつづけているうちにある日突然、あ、とうとうぴったりの仕事を見つけたぞ、とわかるのだ。自分のしていることが好きで、いろいろ犠牲にするものがあっても、全然気にならない。
この節が私のアンテナに強く引っかかりました。
働く人の誰もが通り抜ける、不快で時間ばかりがかかる、山あり谷ありの繰り返しのプロセス」から逃げ出して、新しいことがやりたくなる衝動はいつでもあります。

しかし、このプロセスに耐え抜いた先に、視界が一気に広がるものです。
また、このプロセスに耐えるたことがそのまま差別化や参入障壁になるものです。
このプロセスに耐えたることが、ビジネスパーソンの基礎体力になるのでしょう。
何事も初期段階は基礎体力をつけることが最優先です。


本書ではビジネスに関するあらゆることが率直に語られています。
最高のビジネス書の一冊であることは間違いありません。
posted by ミズモト at 00:27| Comment(1) | TrackBack(2) | 経営 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月19日

ブルー・オーシャン戦略


ブルー・オーシャン戦略 競争のない世界を創造する

W・チャン・キム, レネ・モボルニュ

血みどろの戦いが繰り広げられる既存市場を「レッド・オーシャン」、競争のない未開拓の市場を「ブルー・オーシャン」と名づけています。
この名称が絶妙です。
「ブルー・オーシャン」というワードに果てしなく広がる海をイメージし、大航海時代のスピリッツさえ感じます。
言葉だけでわくわくする戦略です。

本書は、単なる新理論であるだけではありません。
未開拓の市場の創造については、これまで多くの論文が発表されています。

その実践的な方法について、新しい視点を提供してくれたことが有効です。
事例を研究し、斬新な切り口から新しい戦略論を示してくれることは、我々が多様な考え方をするのに大いに役立ちます。
読者や経営者にとっては、幅広い考え方を吸収し視野を広くすることが大切です。
その上で、自身の立場にあった考えをすればよいのです。

例えば、本書に出てくる事例は、クレステンセン教授が『イノベーションのジレンマ』の中で提唱した「破壊的イノベーション」の切り口で分析することができます。
「ブルー・オーシャン戦略」や「破壊的イノベーション」、またはその他の戦略をとるかは、その人の思想と立場に依存します。
両方を選択してもいいのでしょうが、中途半端な戦略や絵に描いた餅になることだけには留意したいです。

ブルー・オーシャン戦略の土台を「バリュー・イノベーション」と呼んでいます。
簡単にいえば、イノベーションを伴った、バリューの向上のことです。
こう言い換えてしまうと、ありきたりの言葉ですね。
バリュー・イノベーションを成し遂げれば、「価値とコストはトレードオフの関係にある」という、競争を前提とした戦略論の常識から解き放たれる。これまでは、価値を高めるためにはコスト増を覚悟しなくてはならず、コストを低く保とうとすれば価値の面で妥協をせざるをえない、との考え方が一般的だった。このような考え方のもとでは、差別化と低コストのどちらをとるかを決めるのが戦略だと受け止められる。これとは対照的に、ブルー・オーシャンの創造をめざす企業は、差別化と低コストを同時に実現しようとする。
著者の言葉を引用してもやっぱりありきたりの言葉が並んでいます(笑)
わかりやすい言葉で定義し実現可能な戦略が、優れた戦略です。
そういう意味では、直感的にわかりやすい「ブルー・オーシャン」という言葉を使用し、戦略策定の具体的ステップを示している本書は、非常に大きな価値を持ちます。

「レッド・オーシャン」で行き詰っている経営者や、まさに「ブルー・オーシャン」を創造しようとしていた人にとっては、必読の一冊です。

ところで、事例にはドコモやQBハウス、シルク・ドゥ・ソレイユといった日本でもおなじみの企業が取り上げられています。
その中に私が現在注目している、女性専用のフィットネスクラブのカーブスがありました。
日本では今夏に数店が立ち上がったばかりですが、来年から急成長するようです。
今後の日本での新市場開拓に期待しています。
posted by ミズモト at 16:01| Comment(0) | TrackBack(2) | 経営 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月08日

明日は誰のものか


明日は誰のものか イノベーションの最終解

クレイトン・M・クリステンセン

クリステンセン教授の破壊的イノベーションの応用編とも言うべき内容です。
イノベーション理論を使って、将来を予測しようという大胆な試みです。
「明日は誰のものか」 "Seeing What's Next"

ポーター教授の「競争優位の戦略」を初め、学会では多くの理論が生まれ、経営戦略に生かされてきています。
将来を考える上で、理論は非常に重要です。
勘で勝負し成功している人も、言語化されていないだけで、その人なりの理論を持っているのです。

一方、googleを初めとする新興企業は既存のフレームワーク(理論)を破壊しています。
しかし、理論が役に立たないのではなく、これまでの理論は時代に合わなくなり、彼ら独自の理論(仮説)の元に動いているのです。
理論が言語化されているか、仮説が経営者の頭の中にあるのかだけの違いに過ぎないように思えます。

さて、未来を予測することは、過去を振り返って理論をつくりよりもチャレンジグなことです。
イノベーション理論で偉大な名声を得た著者にとってはなおさらでしょう。
それでも試みることは必須です。
実践に生かしてこそ、学問です。
難しい問題を解決するからこそ、企業は価値を生み出せる。明日を見据えている企業は、明日生まれる難問の解決に積極的に乗り出す。というのも、明日の難問の解決こそが、明日の利益の源泉だからだ。これらの企業の姿勢は偶然にも、アイスホッケーの伝説プレーヤー、ウェイン・グレッキーのアドバイスそのままだ。グレッキーは、なぜ偉大なプレーヤーになれたのかという質問に対して、こう答えていた。「私はいつも、パックがあるところでにではなく、パックが飛んでいく先のポイントを目指してスケートをするように心がけている」
優良企業が苦しむ破壊的イノベーションの発見。
破壊者として破壊的イノベーションの活用。
そして、イノベーション理論を駆使した各業界の未来予測。

ポーター教授以来のイノベーティブな研究といっても過言ではないでしょう。

"Seeing What's Next" 意識しておきたい言葉です。
posted by ミズモト at 14:09| Comment(1) | TrackBack(1) | 経営 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月01日

イノベーションへの解


イノベーションへの解―利益ある成長に向けて

クレイトン・クリステンセン

名著『イノベーションのジレンマ』の続編です。
前作があまりにもすばらしかったのですが、本書も負けてはいません。
前作ほどの衝撃はありませんでしたが、「イノベーションのジレンマ」に対応する枠組みを示してくれています。
研究をここまで続けた著者を大いに尊敬しています。

優良企業は顧客の声に真摯に耳を傾けて、持続的イノベーションを起こします。
破壊的イノベーションは顧客のいない新しい市場を創出する。

では、破壊的イノベーションはどうやって引き起こすのか?
鍵を握るのはやはり顧客です。
ドラッカーの「事業の目的は顧客の創出である」は真理です。
マーケティングで狙い通りの成果をあげるためには、顧客がものを購入したり利用したりする状況を理解することが欠かせない。具体的に言えば、顧客(個人や企業)の生活にはさまざまな「用事」がしょっちゅう発生し、彼らはとにかくそれらを片づけなくてはならない。顧客は用事を片づけなければならないことに気付くと、その用事を片づけるために、「雇える」製品やサービスがないものかと探して回る。顧客は実際、こんな風に暮らしているのだ。彼らの思考プロセスには、まず何かを片づけなくてはという認識が生じ、次に彼らはその用事をできるだけ効果的に、手軽に、そして安くこなせる物または人を雇おうとする。顧客が製品を購入する状況を構成するのは、顧客が片づけなくてはならない用事の機能的、感情的、社会的な側面である。わかりやすく言えば、顧客が片づけようとする製品のターゲットを顧客そのものではなく、顧客が置かれている状況に絞る企業が、狙い通り成功する製品を導入できる企業である。別の言い方をすれば、かぎとなる分析単位は、顧客ではなく状況なのだ。
「顧客の用事を片づける」製品やサービスを提供すること。
非常にユニークだが、鋭い考察です。
コモディティ化したサービスよりは機能が劣っても、顧客が本当に片づけたい用事を片づけるためだけの機能に絞った製品が、破壊的イノベーションにつながると言っています。

機能を絞るということは、勇気がいることです。
もともと市場がないのだからいくら分析しても出てきません。

顧客を徹底的に観察し、想像力を働かせ、勇気をもつことが、「イノベーションのジレンマ」に対する一つの解になりえるということでしょうか。

前作からは、イノベーションに対する新しいパラダイムを得ました。
本書は、非常に考えさせられるものでした。

こういう本を読んでいると何故かわくわくしてきます。
posted by ミズモト at 14:33| Comment(0) | TrackBack(2) | 経営 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年10月30日

イノベーションのジレンマ


イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき

クレイトン・クリステンセン

「偉大な企業はすべてを正しく行うが故に失敗する」

真に衝撃的な事実です。
市場のトップ企業が、商品やサービスのイノベーションを継続的に行っているにも関わらず、後続企業にリーダーの座を脅かされ奪われることはよくあります。
ハイテク業界では、IBMのメインフレームからウィンテルのPCに。
流通業界では、百貨店からダイエーやイトーヨーカ堂らスーパーマーケットに、そしてコンビニに。
証券業界では、野村証券や大和證券からE-tradeや松井証券に。
旅行業界では、ツアー旅行に強いJTBから格安航空券での自由旅行を実現したHISに。

これらに共通するのが、破壊的イノベーションになります。

優良企業は、顧客の声に耳を傾け、自社の強みである技術・サービスに持続的イノベーションを起こしています。
しかし、その技術・サービスよりは同じ市場では性能が劣るが、全く新しい市場をつくりだすことを、破壊的イノベーションと呼んでいます。
通常、破壊的イノベーションは技術的には単純で、規制の部品を使い、アーキテクチャーも従来のものより単純な場合がある。確立された市場では、顧客の要望にこたえるものではないため、当初はほとんど採用されない。主流からかけ離れた、とるに足らない新しい市場でしか評価されない特徴を備えた別のパッケージなのである。

「顧客の意見に耳を傾けよ」というスローガンがよく使われるが、このアドバイスはいつも正しいとはかぎらないようだ。むしろ顧客は、メーカーを持続的イノベーションに向かわせ、破壊的イノベーションのリーダーシップを失わせ、率直に言えば誤った方向に導くことがある。
PCの出てきた当初のスペックはメインフレームに劣りました。
品揃えはスーパーマーケットより百貨ってんに優位性がありました。
営業員による手厚いサポート体制は、オンライン証券にはあまり期待できません。
自由旅行では、添乗員がいる提案型のパックはありえません。
しかし、全く別の市場・顧客層をターゲットにすることで、大きな成長を実現しています。

このことは、インテルのアンドリュー・グローブ会長がコメントしている通り、「明晰で、示唆に富み、それでいて恐ろしい」事実です。

集められたデータ、分析力、そこから得られる結論は超一流の研究であることを示しています。

まさに、目から鱗の内容です。
鳥肌の立つ事実でした。

すばらしい。
posted by ミズモト at 18:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 経営 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年10月09日

プロフェッショナリズムの覚醒


プロフェッショナリズムの覚醒―トランスフォーメーション・リーダーシップ

倉重 英樹

企業にプロフェッショナリズムを植えつける「変革」への強い意志が力強く伝わってきます。
赤字のPWCを日本有数のコンサルティング会社に変革し、今では日本IBMをコンサルティング部門の立場からリードする存在にした実績は比類ないものです。
著者のその経験を、自分の考えと実際にとった行動を丁寧に書かれていますので、非常に勉強になりました。
プロ野球のチームに特徴的なこととして、次の5つが挙げられると思う。
 まず1つめの特徴は、個々の選手が自分の能力を発揮する領域が明確になっていることだ。そして、選手がそれぞれの強みを発揮することが、チームの強さにつながっている。
 次に2つめの特徴として、強みを発揮できない選手は活躍の場を得られないし、収入も増えない。そのことを選手たちも自覚しているので、強みを維持・強化するために厳しいトレーニングを自らに課している。
 3つめの特徴は、試合は厳しいルールの下で行われ、戦い方は監督の考えで決められるが、そのなかでプレーは選手の自由裁量に任されているということだ。したがってプレーに選手の考え方や個性が表れる。つまり、選手は監督が示す戦略を理解したうえで、自ら判断して自らベストな行動をとるのである。
 4つめの特徴は、全員が業績で評価され、その評価項目と評価基準がオープンになっていることだ。
 5つめの特徴は、優秀な選手ほどチームに対して貢献しようとする意識が強いということだ。彼らは、チームという場で最高のパフォーマンスを出すことに全力を挙げる。その場がなければ、自分の能力を発揮できないことを知っているからだ。
プロフェッショナルという言葉は野球やサッカーなどのスポーツの世界だけのものではありません。
あらゆる業種のビジネスパースンもプロであるべきです。
個々の意識が重要になります。
しかし、企業全体から見れば、プロ意識をもった人もいますが、そうでない人も多くいるのが実態です。
そうした中にプロ意識を植え付けるには、プロ野球の持つ5つの特徴をもつ環境を整えることが必要条件になってきますが、それが非常に難しい。

倉重氏はPWCで、人材育成を意識したチーム制、エンパワーメント(権限委譲)、ナレッジ・マネージメント、業績重視の人事制度への転換といった「変革」を次から次へと進めていきました。
この過程で重要なのは、あるべき姿を描いてビジョン先行で変革を進めたことです。
場当たり的に既存のシステムに少しずつ手を加えて、返って複雑な組織をつくってしまったら失敗です。
また、変革も人がついてこなければ意味がありません。
私は彼らに、過去のあらざがしをする気はないこと、変革はPWCが前進するために必要な「手術」であることを前置きして、変革のビジョンや具体的なプラン、プロセスを事細かに説明した。むろん、彼らの意見も十分に聞き、プランの修正に反映させていった。私はこの説得プロセスに労を惜しむ気はなかった。彼らの納得と共感が得られなければ、変革は成功しないと思っていたからだ。賛成と反対の境界をあいまいにしたまま動きだせば、中途半端な結果にしかならない。それはいちばん避けなければいけない。彼らが自らの意思で会社を変える。そこまで社員をモチベートすることが現段階で私の責務だと決めていた。

大きなビジョンを持ち、実際にすばらしい変革を起こした倉重氏からは、目を覚まさせられる言葉がどんどん出ています。
組織としてどうあるべきか、だけでなく、個々がどうあるべきかも同時に考えていかなくてはいけません。
組織でも個々でも、あるべき姿を描いて変革を進めていくという点では共通点があります。
組織論が個々に応用でき、個々の自己啓発の考え方が組織にも応用できます。
今日のように企業変革が大きなテーマとなる時代には、トップは社員が魅力を感じられる会社のあるべき姿を描き、それに向けてみんなをファシリテートできるリーダーでなければならない。これは日本人の比較的弱いところだと言われているが、そうした能力を自己開発することもトップの責任だと思う。
われわれはどうしても現状から将来を見たがるが、反対に将来から現在を俯瞰してビジョンを描くほうがよい。将来こういう世界の環境がある、そのなかで当社はどうあるべきかという見方もできるのだ。現状にとらわれることなく、とにかく未来の環境のなかに自社を置いてみる。そして、そこで何がうまくいき、何がうまくいかないのかをじっくり考えるのだ。

大切なことは、どうなるかではなく、どうしたいか、どう変わりたいかだ。まずはそれをとにかく表明して、みんなを引っ張っていく。極端に言えば、実現するかどうかは、結果任せでもいいのである。

いまは、あるべき未来像をビジョンとして描き、その実現に向けて突き進んでいかなければならない時代だ。それができない企業は淘汰されるのを待つしかない。唯我独尊でもよいから、とにかくビジョンを描いてみる。そして社員をファシリテートして引っ張っていく。途中でおかしいと思ったら、いつでも変えればいいのだ。初めから100点満点のビジョンが描けるほど、今日の企業環境は単純ではない。試行錯誤は当然なのだ。

これから先のリーダーは、強い意志力と、良い意味でのいい加減さを併せ持っていかなければならない。単なる優等生では絶対に務まらないのである。

トップは、未来の問題を考えることにもっと時間を費やさなくてはならない。

「自分がやるべきことはこれだと思っています」といつでも説明できることは、1つのアカウンタビリティだと思う。さまざまな局面で自分のやるべきことを見つけていくことは簡単ではないが、いかなる局面にあっても、いま自分がやるべきことをわかっている人は周りから見ていて頼もしいものだ。だから、自分がやるべきことを見つけて実行する努力を常に心がけてほしい。それが自分をつくっていくことにつながるのである。
"Enjoy Business As a Game" 失敗を恐れず、一緒に挑戦し続けよう。

マインドに刺激を与えてくれるすばらしい本でした。
著者のような人物になることを理想に、ますますスキルを磨いていこうと再決心しました。

"Enjoy Business As a Game" 失敗を恐れず、一緒に挑戦し続けよう。
posted by ミズモト at 10:58| Comment(0) | TrackBack(2) | 経営 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年09月13日

経営の行動指針


経営の行動指針―土光語録

土光 敏夫

著者の土光氏については不勉強のためよく存じていなかったのですが、経歴がすごいです。
日本が誇る名経営者の一人に間違いありません。

本書も簡潔な言葉で、現代にも通じる真理をついています。
ビジネスや人間の本質はいつの時代も変わらないもので、極めた人のみがそれを知ることができるのだということが改めてよく分かりました。

タイトルには「経営」とついていますが、経営に関わらず、すべての人に役に立ちます。
100個の項目に整理されていますので、いつでもどこからでも読み返せて一生に手元に置いておきたくなる一冊でした。

64.穴を深く掘るには幅がいる
専門家が深く進むのは当然だが、狭くなるとは不可解だ。本当に深まるためには、隣接の領域に立ち入りながら、だんだん幅を広げてゆかねばならない。深さに比例して幅が必要になる。つまり真の専門化とは深く広くすることだ。そうして、この深く広くの極限が総合化になるのだ
いわゆるT字型人間のことですね。
大前研一氏はπ字型人間を勧め、堀紘一氏はT字の四角の面積を大きくすることを勧めています。
言い方は時代によって変わっても、やはり基本はT字ですね。
土光氏の例は非常に分かりやすいです。
自分に言い聞かせるのはもちろん、ほかの人に自己啓発を促すのにも使えそうです(笑)

47.有能な部下をかかえて放せぬ者は、無能といわれてもしかたがない
ところが、その返しっぷりがよくない。有能ならざるものから返してゆく。有能なものはあくまでも手許に温存したがる。
本来ならば、有能な部下から順に返しながら、後に続く人を育てるのが筋だろう。それがローテーションの原則である。
この言葉は目から鱗でした。
有能な部下が集まらずに嘆くことはよくあることですが、部下を育てる能力のなさを嘆いているようなものです。
如何に人を育てるかは常々考えていかないといけませんね。

92.さびつくより、すりきれるほうがまし
それでは、枯木に花を咲かせ続けるにはどうしたらよいか。それには、できるだけ多くの刺激を脳に与え続けることだ。頭を使う仕事なり趣味なりに打ち込むことだ。そういう良性のストレスを積極的につくりだすのである。
脳の使用していないところを刺激する、遊ぶ人ほど成功するのは今では常識です。
35年も前に今も通じる真理を独自の言葉で語れるのは、本質をつかんでいるからです。
だからこそ、本書にある100の言葉すべてに重みを感じます。
次に読むときには、別の言葉をじっくり噛み締めたいと思います。
posted by ミズモト at 23:23| Comment(1) | TrackBack(0) | 経営 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月28日

「儲かる仕組み」をつくりなさい


「儲かる仕組み」をつくりなさい----落ちこぼれ企業が「勝ち残る」ために

小山 昇

仕組みづくり、仕事を行なううえでもっとも重要で、もっとも差別化ができることであると思います。

楽天社長、三木谷氏の「成功のコンセプト」5か条の一つにも以下のものがあります。
 仮説→ 実行→ 検証→ 仕組み化
大きな仕事をする時には、常に意識しておくことです。

著者は日本経営品質賞を獲得したことでも分かるように、仕組みづくりの天才だと思われます。
私は、社員の資質に依存する経営はしません。必ず仕組みに依って立つ経営を志向します。
本書でもオリジナルの仕組みが惜しげもなく、公開されています。
自分のところですぐに応用できるかどうかは別にして、根本にある考え方は非常に参考になります。

コンセプトや実作業だけでなく、考え方を言語化してくれているということは貴重です。
抽象化されたノウハウを言語化することによって、ナレッジの共有が可能となります。
仕事のできる人、仕組みづくりのうまい人というのは、言語化するのが上手なのでしょうね。
これは換言すれば、「社長のコピーを何人つくれるか」が人材教育のミッションでもある。実際、社長のコピーがいればいるほど組織は堅牢になっていきます。

繰り返しますが、人間は失敗するからこそ学ぶのです。私は作為的に失敗を、痛い思いをさせることで人材を育てています。・秀な社員ほど数多く失敗させます。それは期待の裏返しでもあります。

何よりもまず目で見えるところを差別化すること。それが大切です。差別化は目で見て認識できなくては駄目です。これは他社との競争の基本です。前項で述べた環境整備は、何を、どのようにして「差」をつけるかを学ぶ作業です。

大切なのは「発生したこと」と「発生させた人」をわけて考えること、そしてその「発生したこと」を改善すること、そしてその「発生したこと」を改善することです。どうしてそれは発生したかを分析し、原因を追究する。それが問題を解決する仕組みとなります。

そこで再びロータリー発想をするとどうなるか。「最良の組織をつくって、それに人を張りつける」ことになります。どういう組織にするのが自社にとって最良かを考え、そしてだれを新しい組織の長にするかを考える。「人」にとらわれてさえいなければ「部長が一名不足なら、課長の中から引き上げれば良い」と発生できる。

「社員が業務マニュアルをつくらない」という話をよく聞きます。なぜつくらないか。その必要がないからです。仕事がわかっている社員にはマニュアルはいりませんから。そういう人にマニュアルをつくれと指示してもだれもつくらない。当たり前です。ところがこのように定期的に人事異動をすると、年を追うごとにマニュアルの精度が高くなります。
大事なのは、デキル人の考え方を自分のものにすることです。
考え方を共有しているからこそ、その人のやり方を採用して、応用をきかせることができるのです。

では、考え方を自分のものにするにはどうすればよいのか?
それは、常にアンテナを高くしておくことです。
その上で、本人の話を聞くこと、著書を読むこと、そして真似ることです。
大切なのは継続すること、そして「自社にとって良い」と思ったことは躊躇せず真似ることです。真似こそ最高の創造です。

世の中には完璧な仕組みはありません。だからこそ仕組みは常に改善し続けていかなくてはならないのです。
「真似」+「改善」が差別化への切り札です。
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2005年08月03日

会社を変える戦略


会社を変える戦略―超MBA流改革トレーニング

山本 真司

ベストセラーになった『ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か』では物語を通してTOC(制約条件の理論)を理解できました。
本書はMBAで習う経営科学の技術を物語通して解説していますが、『ザ・ゴール』同様非常に理解しやすいものでした。
MBAを数時間で学んだ気がします(笑)

流行り(?)のSCM、BPR、CRMを経営に取り入れることの必要性を説きながら、「人」の大切さを訴えているのが印象的です。
しかし、分析・加工スキルでぬきんでて、ここをコア・ケイパビリティにして差別化するというシナリオは甘すぎる。良い分析手法はいずれまたみんなに共有される。それが、IT時代の本質です。分析技法は容易に模倣されるのです。
私は、IT時代の差別化の武器は”人”だと思っています。

個人の能力、企業の『遺伝子』、企業の文化、教育投資……さまざまな要素の複合体で人は育ち、組織能力は成長します。こうした優位性は確立してしまえば真似されにくい。したがって、長期にわたって永続する優位性=差別化の武器になる可能性が大きいのです。

また、経営者としての心構え、あり方も参考になりました。
矛盾した意思決定をできる、マイナスの影響を最小限にとどめることができる。それが経営者の役割です。

『切る』という意思決定は、鬼となって、すなわち、資本の論理や分析結果に素直に従って、冷静にドライに行え。しかし、『仏の心』をもって実行せよということです。

しかし、大切なのはやはり「考える」ことです。
次のフレーズは頭に叩き込んでおこうと思います。
私が以前経営コンサルタントを経験して学んだのは、@自分の頭で考える、Aそれは借り物ではない、自分の言葉で証明できる、B自分の頭で考えるために、物事を裏から斜めから見る習慣をつける、なるべく意見のない異なる刺激材料を収集する――ということだったんだ。

一通りの経営技術に加え、経営者としての心構え、戦略的思考まで実践的に学べて、とっても得した気分になりました。
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2005年07月04日

ニュービジネス活眼塾


ニュービジネス活眼塾 アタッカーズ・ビジネススクール講義録

大前 研一

私にとって最も尊敬でき、(特にその著書を通じて)最も影響を受けたのが大前研一氏です。

本書は大前氏の事業家養成塾での講義録ですが、すばらしい内容でした!
全てのビジネスマンが読むに値する一冊です。

繰り返し強調されているのが「構想力」の重要性についてです。構想力とは、コンセプトから事業アイデアがイメージできるようになるということです。
私たち凡人にとって救い(?)は「構想力」は鍛えることができることです。
大前流構想力の鍛え方は以下のとおり。
では、構想力を磨くためにはどのような訓練をすればいいのか――。一つは、訓練のやり方にパターンがあるのでそのパターンを覚え、しばらくはそのパターンを自分で追求してみることだ。その際にいちばんいい方法は、これは本当に正しいのか、これはどういう意味なのか、どんな物語になるのかをトコトン考える、それを紙に書くことである。これを何度も繰り返す。

二つ目は、構想力を持った強い刺激を与えてくれる人にどんどん会いに行って、いろんな話しを聞くことである。実際に会って話を聞き、刺激を受け、自分の思考を追い込んでいく。このような機会を数多く持つことだ。

三つ目は、自分で設問を設定して自分ならどうするかを考えることである。例えば、中央区の区長から「築地の跡地をなんとかしてほしい」と頼まれた。自分ならどうするか、というようなシチュエーションに自分を置いて、トコトン考えてみる。そして考えがまとまったら、書いてみる。あるいは区長に説明をしているつもりで、テープに向かって五分間なら五分間と時間を区切って、説明するのである。
これが簡単そうでやってみると意外と難しいです。

まず、「考える」のが難しい。「考え」ていると「この考えは正しいのか?」「こんなこと考えてどうする?」といった思いで頭の中が支配されそうになります。この思いを乗り越えるのが構想力を身につける第一歩なのでしょう。

次に、「紙に書く」のも難しい。「紙に書かなくても頭で分かっている」と思い紙に書くのをためらったり、いざ紙に書こうとしてもうまく書けなかったりします。考えがまとまっていない証拠ですね。

また、人に会いに行くのもなかなかすぐにはできません。これも意識して行って当たり前のようにできるレベルにしないといけません。孫正義氏が16歳のときに藤田田氏に会いに行ったという伝説は驚嘆するばかりです。


この「構想力」の訓練を身につけるだけでも本書を読む価値ありです。
これ以外にも事業家に向けてのメッセージはまだまだあります。本が赤ペンで真っ赤になってしまいました。これから何度も読み直すことになるでしょう。
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2005年06月12日

バリュースペース戦略


バリュースペース戦略

J・セス, B・ミッタル

バリュースペースとは『エクセレント・カンパニー』や『ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則』であげられたような超優良企業のための条件を戦略フレームワークに落としたものとして提唱されています。

取り上げている企業は他の文献でもよく出てくるアメリカンエキスプレスや3Mです。調査対象の企業は似通ってきますね。それだけ「超」優良企業の証なんですが。

バリュースペースを構成する要素(顧客、価格、パフォーマンス、パーソナライゼーション)には目新しいものはありません。強いて言えばパーソナライゼーションがありますが、これも最近の『ONE to ONEマーケティング』や『パーミションマーケティング』に似た概念です。

オリジナルなのはそのフレームワークにあります。顧客中心から始まって、価格・パフォーマンス・パーソナライゼーションのバリューを最大限に高め、さらに付加価値を加えることにフォーカスをあてていることです。フレームワークだけでなくバリュースペース構築のためのプロセスにまで踏み込んでいます。

優良企業への条件(例えば顧客主義やイノベーション)をあげる経営書は多く、混乱を招きかねません。その意味でフレームワークは経営者の焦点を絞るのに必要なものだと思います。フレームワークがあると従業員との価値観の共有もしやすくなります。
フレームワークは経営者自身で見つけたりその企業にあったものを利用するのが良いのでしょうが、引き出しが多いほうが有利なのは間違いありません。

バリュースペースというフレームワークは比較的すっきりまとめられているという印象を受けました。経営者の頭の中を整理するのには最適なものの一つでした。
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2005年06月05日

小倉昌男 経営学


小倉昌男 経営学

小倉 昌男

本書は小倉氏の初めての自著だそうです。「成功した経営者が自らの経営談義を出版すると、やがてその企業自体は不振に陥り、一転、失意に陥る」というジンクスを守って、経営を退くまで本を出版しなかったのだとか。
温存した甲斐があったのか、比類ない実績を残した経営者の生の声が伝わってくるすばらしいケーススタディとなっています。

印象に残ったのが、セミナー・講演を多く受講し積極的に経営に取り入れていった点です。経営者にとってセミナーを通じて学習を続けるのはよくあることですが、実際にどのような点に感銘を受けどのように経営に落とし込んでいったのかを具体的に知って、学習へのモチベーションが高まってきています。やはり優秀な人は勉強熱心なんですよね。

また、小倉氏のサービスに対する考え方は業種が違っても、大いに参考になります。「サービスが先、利益は後」という言葉が全てを表しています。単なるきれい事ではなく、採算性の悪さから反対する役員を押し切って宅急便のサービスを取り入れ成功したのは、実際にこの言葉を掲げて全社で進めていったからでしょう。
全てのビジネスはお客様あってのものです。いかに良いサービスを提供できるかがビジネスの本質にある気がします。

最後に小倉氏の考える「経営リーダー10の条件」。
 1.論理的思考
 2.時代の風を読む
 3.戦略的思考
 4.攻めの経営
 5.行政に頼らぬ自立の精神
 6.政治家に頼るな、自助努力あるのみ
 7.マスコミとの良い関係
 8.明るい性格
 9.身銭を切ること
10.高い倫理観

小倉氏は高い倫理観を持ったすばらしい経営者であることを再認識しました。
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2005年05月30日

実践経営問答


実践経営問答

稲盛 和夫

本書は盛和塾例会での塾生と稲盛氏との問答集です。盛和塾とは稲盛氏から人生哲学と経営哲学を学ぼうとして集まった若手経営者の自主的な勉強会に端を発するようです。やはり稲盛氏の哲学にひきつけられる人は多いようですね。

稲盛氏の他の著書は氏の経験を元にして培ったノウハウや哲学が分かりやすく書かれています。しかし、本書は実際に経営者が悩む問題を稲盛氏自らがアドバイスしています。稲盛氏の哲学を読み取れると同時に、ケーススタディとして自分の問題として捉えやすくなっています。正に悩んでいる問題と同様の問題があれば、稲盛氏から直接アドバイスしてもらっているのと同じ状況というわけで何とも贅沢なことです。

それでも私はケーススタディとしての役割より稲盛氏の言葉一つ一つから哲学、考え方を読み取るほうに興味がいきました。

経営者としての心のあり方、人との接し方、新しいことへの取り組む心構え、等々経営者でなく一人の人間としても役に立つ言葉で満ちています。実際にあったQ&Aから出ているだけに稲盛氏の本音が − もちろん他の著書も本音で書かれているのでしょうが − 窺えます。

その中の言葉は他の著書に出てくる氏の理念と少しもずれがありません。
一人の人間の生き方の信念を人生にも経営にも徹底的に貫いているからなのでしょう。絶対的な信念を持つこと、その信念を潜在意識にまで徹底的に浸透させることが氏の哲学の原点にあり、見習いたい考え方です。
経営には哲学が必要です

具体的な目標を立て、そのうえで、これを達成するためにはこれしかない、という方法論に辿り着くべきであります

貴方が皆から尊敬を集めるためには、今は小さなことでもいいから実績を積み上げていくことが大切だと思います。さらに加えて、謙虚であれば、必ず感心して貴方についていくようになります

名経営者の条件がもしあるとすれば、自分の今の経営という仕事を好きになることです。そのためには貴方の今の仕事に打ち込むこと、それしかありません
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2005年05月26日

稲盛和夫の実学―経営と会計


稲盛和夫の実学―経営と会計

稲盛 和夫

私には尊敬している人はたくさんいるのですが、京セラ創業者である稲盛氏のことは学生時代から気になっていました。携帯電話もドコモではなくIDO時代からauを愛用しています。初めて買った機種も京セラ製でした。

全ての名経営者に言えることでしょうが、稲盛氏のすごいところは本質を捉える力と強い意志です。

会計上利益が上がっていてもキャッシュがない、。会計士の説明を聞いてよく分からないので、そんなものかと鵜呑みにしてしまうのは多々あることです。しかし稲盛氏は経営者の視点から一対一対応の原則等の独自の会計システムを作り上げてしまっています。

会計について素人かどうかなんて関係ありません。会計はどうあるべきかを考え抜いて、実践していくことが大切なのでしょう。
このことは会計に限らず、大事を為す人には共通して見られる考え方です。

本書はタイトルにもあるように、稲盛氏の経験から得た「経営と会計」のノウハウがぎっしり詰まっています。これだけ実践できれば大きな武器になりますが、根底にある稲盛氏の思考法を理解すればもっと大きなものが手に入れられます。

誰から見ても普遍的に正しいことを判断基準にし続けることによって、初めて真の意味で筋の通った経営が可能となる。

目標は何か、いったい何をやりたいのか、ではそのために何をどうすればいいのか、何度も何度も頭の中でシミュレーションをすれば、やがて商機のありどころが見えてきます。そこれみんなを引っ張っていくわけです。そして、どれだけのものをねらうのか、それがみんなに示す目標です。

この意味で私は会計の果たす役割はきわめて大きいと考えている。なぜなら会計において万全を期した管理システムが構築されていれば、人をして不正を起こさせないからである。また、万が一不正が発声しても、それを最小限にととめることができるからである。

何かを成そうとするときは、まず心の底からそうしたいと思い込まなければならない。「わかってはいるけれど、現実的にはそんなことは不可能だ」と少しでも思ってしまったら、どんなことも実現することはできない。どうしてもこうでなければならない、こうしたいという、強い意志が経営者には必要なのである。
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2005年05月16日

口コミ伝染病―お客がお客を連れてくる実践プログラム


口コミ伝染病―お客がお客を連れてくる実践プログラム

神田 昌典

私が尊敬している人物の一人が本書の著者である神田昌典氏です。神田氏の本は直接的で少し癖があり非常識ですが、実に実践的です。MBAホルダーでありながら、MBAで習うような理論は語らずにすぐに応用がきくことが中心になっています。本書も口コミを意図的に作り出すテクニックを惜しげもなく披露しています。

あまりににも具体的に書かれているのは、神田氏がサラリーマン時代、またはコンサルタントとしてクライアントを通じて実際に経験してきたからでしょう。それだけに説得力があります。なるほどと思わせる顧客心理もあります。読みやすさを優先して軽いタッチで書かれていますが、内容は奥深いです。口コミはブランディングにもつながりますので、裏にある理論・心理をおさえておくことでビジネスに役立つことは必至です。

もちろん万能ではありません。例えば大企業。悪い口コミを気にしない、期待させないといったテクニックは既存客や世間体に過剰に反応する大企業にはできなことでしょう。それも思い切った経営判断しだいではあると思いますが、大企業は強者の戦略で広告費をかけたりすればいいのです。あまり世間に中小企業にこそ有効なものです。しかしテクニックのいくつかは大企業でも有効なものです。

神田氏は理論と経験の両方を持ち合わせている数少ないコンサルタントの一人だと言えます。
マーケティング(ブランディング)には心理学の要素が欠かせないと再認識させられました。


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2005年05月05日

社長失格―ぼくの会社がつぶれた理由


社長失格―ぼくの会社がつぶれた理由

板倉 雄一郎

ベンチャーの立ち上げから倒産まで詳しく正直に描かれていて非常に面白い。よく成功話よりも失敗談の方が為になると言われますが、なかなか聞く機会が少ないのも事実です。その意味でも起業家や経営者、全てのビジネスパーソンにとって非常に有意義だといえます。帯にもある通り「おれが書かなきゃ、だれが書く」と言えるべき人です。

本書の中にはいくつも参考になる言葉が出てきます。大きな試練を乗り越えた人だから言える重みある言葉です。
ベンチャー大国米国では、アイデアを出し起業するいわゆる「起業家」とその後実際に経営を行う「経営者」が別人であるケースは、珍しくない。要するにこの二つの仕事は性格がまったく異なるものなのだ。両方の資質を持っているならばともかく、片方だけの場合、どちらかの仕事にした方がよいに決まっている。
挨拶をすると孫さんは言った。
「ぼくのほうからお会いしたいと思っていました」
やられた。
ベンチャービジネスの世界で知らぬものはいない有名経営者、孫正義氏が、経営危機に陥った若造経営者のぼくに対して「お会いしたかった」と頭を下げる。なかなかできることではない。
そうはいってもハイパーネットは、れっきとした株式会社だ。その株式会社が、銀行から融資継続をお願いするにあたって、なんの関わりもない経営陣の親のサインが必要だとはぼくも知らなかった。
やはり究極の状況では、衣食住のうち、住が現実的に大きな負担となる。
ぼくには究極の状況でぼくを支えてくれる人がいないことを実感した。そしてそれは結局それまでのぼくがいたらなかったせいだということもわかっていた。会社を早々に辞めた社員にしても、この彼女にしても同じだった。ぼくの配慮が足りなかった。
まさにそのつけがぼくに回ってきたわけだ。

まだまだたくさんのビジネス上のヒントが隠されています。もっと読み込もう。
posted by ミズモト at 02:04| Comment(0) | TrackBack(2) | 経営 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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