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2009年08月27日
2006年06月01日
iモード事件

iモード事件
松永 真理
iモードが発表された当時は一大ブームでしたね。
携帯電話でインターネットにつながるモバイル時代の到来でした。
NTT Docomoの加入者も急増し、就職の人気も急騰しました。
皆が、PHSからIDO(現au)からDocomoに乗り換えました。
人と同じことをするのが嫌だった私は、CMをDocomoからIDOに乗り換えた織田裕二に何故か共感を覚えて、cdmaOneを買ってNTT Docomoの就職試験を受けました(笑)
当然ですが、iモード誕生の裏にはさまざまなドラマがありました。
本書はこの舞台裏を事細かに見せてくれます。
他の分野でも応用可能なノウハウがたくさんでてきます。
例えば、もっとも難しい値付けについて。
「それは違うと思うわ。500円という金額は、雑誌で言えば月刊誌の値段でしょ。読みたい特集があってはじめて、読者は購入しようかという気持ちになるものなのよ。300円という値段は週刊誌の値段よね。習慣性もあるし、特集で特に読みたい記事がなくても、連載記事でも読もうかと気軽に買える値段よ」
情報誌時代、雑誌の値段を100円上げるだけで売り上げ部数がガクッと落ちたことがある。ユーザーにとっては、100円の差は大きい。
「300円くらいなら、2、3ヶ月使わないことがあっても、千円に満たないでしょ。これなら我慢できる。より多くの人をターゲットにするのなら、300円より高くしてはいけないと思うんだけど」このとき、私が根拠とする論に「四捨五入理論」というのがあった。4だったら、切り捨てられるが、5だったら10にしてしまう感覚だ。
情報ビジネスに必要不可欠なコンテンツについても明確な主張をしています。
「コンテンツがたくさんあればいいというんだったら、いまのインターネットと変わりはないじゃないですか。ネットサーフィンのできる人が、自分の必要な情報を探していくというのと同じで、一部のパソコンを使いこなせる人たちが使うものと変わらないものができてしまいます。私自身がパソコンを使いこなせないこともあるけど、これから作る携帯には普通の人が日常的に必要とする情報をコンパクトに載せたほうがいいんじゃないでしょうか」
「その必要な情報というのは誰が決めるんですか。真理さんですか」
「いや、だから、それはみんなこれから考えて・・・」
「真理さんがこれまで情報関係の仕事をしていたからといって、一人の人間が情報内容を決定していくのはリスクが大きすぎます」
「私一人が決めるというのではなく、ユーザーの立場に立ってみんなが話し合って、適切だと思ったものを載せるんですよ」
そして、欠かせないのが顧客です。
ここでも独自のノウハウを披露してくれています。
新しい雑誌を創刊するときに、必ず私がやることがあった。これから作るものは、どんな人を対象に、どんな場面で使ってもらいたいかを明確にしていくのだ。
「ターゲット」つまり誰に買ってもらうかの照準を定めるわけだが、普通はたとえば「女子高生」「三十代の、年収いくらの男性」というある固まった層をイメージするのに対し、私は一人の明確な「人物像」を描いていく。どんなファッションを好み、どんな場所に遊びにいくのかという一人の人間を思い描き、その周りに20万人、30万人がいると設定するのだ。そんな人物が実際にどんなものをほしがっているのか。それを明確にしていく。そのため最初に私がやる方法がブレーン・ストーミング(ブレスト)だ。
ウーマン・オブ・ザ・イヤー2000に選ばれただけあって、ビジネスの才覚があちこちで見られます。
リクルートで培ったものでしょうが、一貫しているのがユーザーの立場に立って考えるということです。
この姿勢を貫いているからこそ、百戦錬磨のマッキンゼーの人たちとも議論し合えるのでしょう。
お客様の立場に立って考えるということと一貫性、この2点が松永真理という女性の最大の強みだと感じました。
2006年02月16日
知恵は金なり

知恵は金なり―これから5年を勝ち抜くための経営学教科書
堀 紘一, ドリームインキュベータ
元ボストンコンサルティンググループ社長の堀紘一氏がベンチャー育成のために立ち上げたのがドリームインキュベータ。
他のベンチャーキャピタルとは違い、戦略コンサルタントのノウハウをベンチャーに応用するというビジネスモデルのようです。
「ソニーやホンダを100社育てる」という構想は、今の日本に必要なものです。
ドリームインキュベータ自身もベンチャーであり、エクセレントカンパニーともいえます。
私のあこがれの会社です。
本書は曖昧に定義されがちな「コンサルティング」に焦点をあてて、複数のコンサルタントがさまざまな角度から論じています。
ベンチャーは社長のリーダーシップや事業のコンセプトばかりが注目されがちですが、ベンチャーにも戦略は必要です。
明日を見据えたマネージメントや新規事業の差別化と回収エンジンは参考になりました。
数ヵ月後の存在も危ういベンチャーにはもちろん重要ですが、大企業にも役に立ちます。
ベンチャーと大企業にとって、戦略の中身は違いますが、戦略立案へのアプローチは共通するものがありそうです。
ビジネスモデル=差別化×回収エンジン(”儲け”の源泉)
【差別化】
差別化 = コア技術 + 周辺技術
開発コスト = 開発リソース × 開発期間
【回収エンジン】
先進ユーザー:開発段階からコミットしてくれるユーザーはいるか?
Cash Cow:既存技術の置き換えは容易には進まない
開発初期の段階からコミットしてくれる先進ユーザーの獲得が鍵
ビジネスにとって重要なのは「知恵」なのは間違いありません。
「知恵」を使う人ほど、仕事に付加価値が出てきています。
「知恵」をつけること、使うこと、学習し続けることの大切さを再認識しました。
その意味では、私は学歴というのは二十世紀的な言葉であり、二十一世紀には学と歴のあいだに習うを入れて「学習歴」が大切であると考えている。
「ソニーやホンダを100社育てる」という崇高な理念を持ち、「知恵」を武器にするドリームインキュベータのような会社は私の理想です。
2006年02月08日
ネクスト・マーケット

ネクスト・マーケット 「貧困層」を「顧客」に変える次世代ビジネス戦略
C.K.プラハラード
一日2ドル未満で生活する人々を「BOP (Bottom Of the Pyramid、経済ピラミッドの底辺)」と定義しています。
富裕層に対するビジネスがますます注目されている一方、BOPは軽視されてきました。
それもそのはず、BOPには購買力がないためビジネスとして成り立たないという先入観があります。
しかし、BOPは元々「貧しいがゆえの不利益」を被っており、そこにビジネスチャンスがあったのです。
BOPは世界に50億人いると言われ、潜在的購買力は高いと言えます。
だが、大企業のビジネスなら、「貧しいがゆえの不利益」を打破することができる。たとえば、ダラビの貧困者は、地元の貸金業者からお金を借りるために600〜1000%の利子を支払っている。であれば、この市場に参入する銀行は、25%の利子で貸し付けることでビジネスとして成功できる。この25%という利子は一見法外に思えるかもしれないが、BOPの消費者にしてみれば、銀行が参入することで利子が24分の1に激減することになる。したがって、彼らは地元の貸金業者との利子の違いに目を奪われる。そして銀行は、リスクを従来の経済ピラミッドの上層にいる顧客より10%高く調整するだけで、十分妥当な利益をあげることができる。なお、彼らのリスクは富裕層とあまり変わらないということをあとで述べる。
同じ経済状態でのなかで、BOPの消費者と裕福な人々で生活コストに格差ができる理由は、「非効率的な販売網と地元の中間搾取業者により、貧しいがゆえの不利益を強いられている」という事実だけで十分である。こうした問題は、組織化された民間企業がBOPの人々を「顧客」に変える決断をすることで、簡単に解消される。規模、オペレーションの幅や経営管理のノウハウを投入すれば、企業自身も、潜在的消費者も、効率よく動けるようになる。
もちろん単純にはうまくいきません。
「貧しいがゆえの不利益」が生じる原因の一つに情報の格差があります。
情報が少なく教育水準も低いために、「貧しいがゆえの不利益」にも気付かないか、何もできないでいるのです。
インドの40%以上の地域は「メディア・ダーク」である。つまり、この地域の消費者には、商品やサービスのメリットをテレビやラジオを使って教育することはできない。BOP市場を開拓するうえで、教育が必須であることは言うまでもない。
BOPには大きなビジネスチャンスがあります。
さまざまな障害を乗り越えた先に、大きなマーケットができあがります。
BOP市場における可能性とイノベーションを事実と事例をもとにまとめたのが、本書です。
市場が成熟しきっていて大きな伸びが期待できないと感じている大企業にとっては、特に役に立つアイデアではないでしょうか。
BOP市場におけるイノベーション12の原則
1 コストパフォーマンスを劇的に向上させる
2 最新の技術を活用して複合型で解決する
3 規模の拡大を前提にする
4 環境資源を浪費する
5 求められる機能を一から考える
6 提供するプロセスを革新する
7 現地での作業を単純化する
8 顧客の教育を工夫する
9 劣悪な環境にも適応させる
10 消費者特性に合うユーザー・インターフェースを設計する
11 貧困層にアプローチする手段を構築する
12 これまでの常識を捨てる
2006年01月30日
成功ルールが変わる!

成功ルールが変わる!―「カラオケ資本主義」を越えて
ヨーナス リッデルストラレ, シェル・A. ノードストレム
『ファンキービジネス』で一躍有名になった二人のスキンヘッドのストックホルム経済学者。
本書も独特の視点から、本質をくすぐられているような気がしてきます。
エクセレントカンパニーを研究して、優れた経営手法をベンチマークとして経営に取り入れていくことはこれまで多くの企業が行ってきました。
トヨタ自動車のカンバン方式やGEのシックスシグマ等は有名ですが、これはこれで一定の成果があがってきました。
しかし、これはカラオケボックスで他人の歌を歌っているに過ぎないのです。(実にユニークな表現!)
今の時代、大きく成長する企業・人は、模倣はしません。
ベンチプラクティスを取り入れることも、過去のフレームワークを再利用することもしません。
(研究して参考にすることはあるかもしれませんが。。。)
googleやデルはオリジナリティを存分に発揮して、急成長しました。
デルはこれまでなかったバリューチェーンを開発しましたし、googleに至っては既存のフレームワークにどうあてはめていいのかさっぱり分かりません。もちろん私の勉強不足もあります(汗)
野茂は当時の野球界の常識を覆して渡米し、日米200勝という偉業を達成しました。(今年も頑張れ)
イチローは4番バッターを目指すのではなく、こつこつとヒットを積み重ねることで世界の頂点に立ちました。
ただ模倣をやめればいいわけではありません。
裏づけとなる技術(ITの技術や野球の技術)が必要です。
世阿弥の言う、「守・破・離」の『離』を目指すということでしょう。
革新の重要さは、今日まで何度となく強調されてきています。
このことについて、本書ではこれまでとは違ったユニークな視点からいい意味での刺激をたくさん受けました。


